新型コロナウイルス感染拡大が続き、電子契約サービスの導入を決めた企業は急増しており、NDA、発注書、基本取引契約、雇用契約などで電子契約を利用されるケースも珍しくなくなりました。
また、令和3年5月19日には「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」が公布され、「脱ハンコ」「脱紙の文書」への機運がますます高まっています。
最近では、取締役会議事録などの電子化もご検討されている企業様が増えてきましたが、法律上のハードルが高く、電子化に踏み出せていないのではないでしょうか?
Acrobat Signは今流行りの立会人型署名だけでなく、当事者型署名にも対応していますので、今回、ケインズアイコンサルティングループでは、代表取締役選定登記の添付書面にAcrobat Signを利用してみました。
利用する電子署名の選択
商業登記で添付する議事録などに電子署名を付す場合、
一般企業で利用できる電子署名は下記の4つとなります。
● 実印が要求される場合
- 商業登記電子証明書
- 公的個人認証サービス電子証明書(マイナンバーカード電子証明書)
- 特定認証業務電子証明書
● 認印でよい場合
- Acrobat Sign、その他の電子契約サービス ※
※ Acrobat Signの場合「Intesi Group Advanced Cloud Signature CA」「GlobalSign GCC R6 AATL CA 2020」の電子署名が必要となります。
今回は代表者選定の登記に議事録等を利用しますので、原則各取締役の実印が必要となります。
そのため、各取締役のマイナンバーカードを利用した当事者型の署名を選択しました。
必要なシステム/機器
● 必要なシステム/機器
- Acrobat Sign
- Adobe Acrobat
- PDF署名プラグイン ※
- ICカードリーダー
※ 法務局 PDF署名プラグインについて
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/security/pdf_sign_inst.html
事前に法務局で無償提供しているPDF署名プラグインを、
各署名者のPCにインストールしておきます。
また、今回は各取締役のマイナンバーカードにより署名を行うため、
ICカードリーダーも併せて準備しておきます。
送信から署名までの流れ
Acrobat Signの当事者型署名フィールドを設置した議事録等のPDFファイルを用意し、
Acrobat Signで各取締役へ署名依頼を送信します。
今回はPDFファイルを登録しましたが、Acrobat SignはWordファイル、
Excelファイル等の多様なファイル形式に対応していますので、
非定型の議事録、契約書などでもスムーズな運用が可能です。
各取締役はメールで署名依頼を受信し、PCに繋いだICカードリーダーで、
マイナンバーカードによる署名を実行します。
ケインズアイコンサルティンググループでは、Acrobat Signの運用をkintone上で行っており、
署名後の文書データは自動的にkintoneに保存されます。
登記完了
法務局の申請用総合ソフトでAcrobat Signで署名した議事録等のデータを添付し、
登記申請したところ、無事に登記完了となりました。
まとめ
マイナンバーカードを利用した署名手続きは、ICカードリーダーなどの事前準備が必要となりますが、
スムーズに各取締役の署名手続きを完了できました。
しかし、登記申請手続きでは、申請後に法務局側への説明が必要となりましたので、
実際に商業登記でご利用される場合には、法務局に事前相談されることをお勧めします。