昨今のコロナ禍や令和4年施行の改正電子帳簿保存法により、電子契約サービスの導入を検討されている企業は増加傾向にあります。
しかし、取引先との契約など社外文書を電子化する場合には、相手方への説明が必要となるため、まずは人事関連文書などの社内文書から電子契約サービスの運用を進めている企業様が多い印象です。
弊社のサービスをご導入いただいたお客様でも、約6割の企業様が雇用契約シーンでkintoneとAcrobat Sign(旧 Adobe Sign)を連携してご活用いただいています。
今回は雇用契約シーンでのAcrobat Signの利用について、労働基準法や電子帳簿保存法など法令対応含めた運用上のポイントをご紹介します。
電子化可能な人事関連文書について
入社時に従業員からいただく文書は多岐にわたります。
下記の文書は一例となりますが、基本的に人事関連文書で電子化できない文書はありません。
企業で任意に取り交わしている秘密保持契約書、誓約書、給与振込先の届出、通勤経路申請などについても、法的な制約がありませんので自由に電子化して問題ありません。
しかし、労働条件通知書の電子化については注意が必要です。
労働条件通知書については、従業員から電子化の「希望」をいただかないと電子化することができません。
労働条件通知書兼雇用契約書のような形で、労働条件通知書と雇用契約書のやり取りを一緒にしている企業では、雇用契約書を取り交わす際にも従業員の希望が必要となります。
従業員からの希望の貰い方について
しかし、労働条件通知書を電子化をする場合に従業員から貰う「希望」について、具体的な確認方法が法定されていません。
口頭による確認でも問題ありませんが、従業員が「希望」したということをエビデンスとしてしっかり残しておく必要があります。
あくまで一例ですが、弊社グループや弊社のお客様では、Acrobat Signにより雇用契約書を交わすということを面接時に口頭で承諾いただき、雇用契約書に下記のような文言を入れて署名をいただいています。
雇用契約書と電子帳簿保存法対応について
また、雇用契約シーンでAcrobat Signを活用する場合、電子帳簿保存法への対応が必要なのか?という疑問も浮かびます。
雇用契約書が電子帳簿保存法の対象となる「取引情報」に該当するのかについて、電帳法を管轄している東京国税局調査開発課に問合せてみたところ、電子取引で定義されている「取引情報」に該当しないと回答をいただきました。(2022年3月15日確認)
従業員との雇用契約書は任意に締結される文書であり、取引に関して受領し、または交付する文書ではないとの理由です。
そのため、雇用契約書を電子化する場合には電子帳簿保存法の要件を意識した対応が不要ということになり、電子契約サービスを利用する上でのハードルが下がります。
2022/03/29追記
所轄の税務署によっては、雇用契約書であっても「電子帳簿保存法対応が必要」と回答されているケースがあるようです。
上記については明確に法定されていないため、税務署の見解も分かれています。
雇用契約書の電子保存が電子帳簿保存法の要件を満たしていないという理由から、給与手当の計上等が否認されることは実務上考えにくいのですが、気になる場合は、念のため従業員氏名・雇用開始日・賃金などで文書データの検索ができるように電子データを保存してください。
弊社のソリューションをご活用いただくことで、自ずと上記管理項目でデータを管理することが可能です。
kintone × Acrobat Signで出来ること
弊社のお客様である、新京成リテーリングネット様(新京成電鉄グループ)の事例やエヌ・ティ・ティ・ロジスコ様の事例では、雇用契約シーンでkintoneとAcrobat Signを連携してご活用いただいています。
契約業務というのは、ただ署名や押印をいただくだけではありません。
雇用契約シーンですと、マイナンバーカードの写し、在留カードの写し、給与振込先の口座情報、通勤経路などの資料や回答情報を契約書と一緒にいただく必要があります。
契約書は電子契約サービスで交わし、その他添付資料や回答書は紙で郵送いただくなんてことは本末転倒なのですが、Acrobat Signと一緒にkintoneをWEBデータベースとしてご利用いただくことで、このような情報もデータとしてkintone上で管理ができます。
k&iソリューションズでは雇用契約書等を電子化するための法令対応支援から、Acrobat Sign、kintoneの初期設定代行までご支援が可能です。
また、文書の電子化に精通した弁護士、税理士、社労士含めた士業グループとして、コンサルティングサービスのご紹介も行っておりますので、ご興味がございましたら、是非k&iソリューションズまでお問い合わせください。