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投稿日|2024 年 05 月 17 日

ドキュメントDXを進める上での課題

電子帳簿保存法やインボイス制度への対応は、ひとつのチャンスだと捉えることが可能です。
こうした法令対応を基点として、さらに業務改善へとつなげ、ドキュメントDXの実現を最終的な目標とすることにより、企業をデジタルデータに強い、より生産性の高い体質に変えることが可能になります。

電帳法などの法令対応をドキュメントDXにつなげるべき理由

皆様は「2030年問題」という言葉をご存知でしょうか。現在、少子高齢化と人口減少に伴い、労働人口の減少が加速していますが、2030年には労働需要に対して644万人もの労働供給不足が発生し、深刻な人材不足となることが予想されています。

企業への影響としては、人材獲得競争の激化、人件費の高騰などが考えられます。こうした問題は2030年に突然発生するわけではなく、現在も徐々に起こっており、あらゆる業界で既に懸念されていますので、皆様も実感していらっしゃるのではないかと思います。

出所:総務省「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2017)」

出典:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計 2030」
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/roudou2030/files/future_population_2030_4.pdf

また、同様なキーワードとして経済産業省が提示した「2025年の崖」もあります。
これは、DXを推進できないままでは、わが国の企業は国際競争力を失うだろうという予想です。
例えば、部門単位で導入した既存システムの機能実装やカスタマイズが不十分で、全社横断的なデータ活用ができず、統合されないまま複雑化・ブラックボックス化しているケースがあります。
あるいは、既存システムに関する問題解決や業務全体の見直し・経営改革が必要な中、現場からの反発があり、DXが推進できないでいるケースもあります。

こうした部門ごとのシステムのタコツボ化・複雑化や現場の業務改革への抵抗が、DX推進のハードルとなり、競争力を失うリスクとなっているわけです。2025年と言うと、来年のこと。問題はもう既に差し迫っています。

電子契約などの導入はドキュメントDXの準備

しかし、裏を返せば、全社規模で横断的にデータ活用できるシステムがあれば、DX推進の足がかりにできるということです。
今回のテーマであるドキュメントDXを推進するには、電子契約のための文書の電子化やプロセスのデジタル化が必須となります。こうした下準備があって初めて「2030年問題」への対策を講じることが可能になります。

電帳法対応・インボイス対応で留意すべきこと

皆様は既に、DXの前段階となるデジタル化を始めていらっしゃることと思います。
すなわち、紙をデータに切り替え、そのプロセスも電子化・自動化し、業務改善につなげる取り組みです。その際、文書データをどう管理するかという検討材料があります。電帳法やインボイス制度への対応を考えて、専用の文書管理システムや会計システムを導入された企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。

ただ、文書管理システム・会計システムともJIIMA認証を取得していることが多く、電帳法対応を重視してシステム選定をすると妥当な選択に映りますが、じつはリスクがあります。
まず、電帳法対応は法律上、専用システムの利用を要求されているわけではないことに留意する必要があります。
文書管理システム・会計システムはいずれも文書管理以外には使い道がなかったり、特定部署以外へのアカウント発行が事実上困難であったりして、どうしてもシステムがサイロ化され、効果が部分最適にとどまってしまいがちです。
例えば、文書管理の業務が経理・総務部門に集中してしまえば、それがボトルネックとなり、全体の効率を落としてしまう可能性もあります。APIを利用した開発などでデータ連携は可能ですが、多大な開発費や保守費用がかかりますし、実装後はシステムの柔軟性も損なわれます。

以上のリスクを考え、弊社では部署を横断的に活用できるkintoneのようなノーコードの業務システムにより、文書データやプロセスのデジタル化を実現する方法を推奨しています。

どこでドキュメントを保管する?
文書管理システム 会計システム 推奨:業務システム
Good ・JIIMA認証を取得していることが多い
・複雑な設定などが無い
・JIIMA認証を取得していることが多い
・仕訳データとの連携が容易
・ドキュメントプロセスの前後含め、部署横断的な業務改善効果が期待できる
Bad ・文書保管以外に利用できない
・ワークフロー機能が無い
・業務改善効果が限定(部分最適)
・財務、経理以外の部門でのデータ利用が困難
・他部門へのアカウント発行が困難
・業務改善効果が限定(財務・経理部門に限定)
・業務に合わせた設定が必要
・法令対応のために規程等の備え付けが必要

電帳法などの法令対応を最終目的にしてはいけない

文書の電子化が関わる業務のデジタル化には電帳法などの法令が関わり、なおかつ法令への対応が必須となっていました。
そのため、デジタル化の目的が「法令対応」になってしまい、対応のための専用ツールを導入することでシステム構成が複雑化し、業務や部署を横断するようなデータの有効活用ができない状況に陥っているケースが散見されるようになりました。
これはまさに「2025年の崖」に直面している状態ですね。
皆様の中にも「電帳法対応で全体の業務効率が落ちた」「文書管理が別データベースとなり、DX推進の足かせになってしまった」などとかえって悩みが増えてしまった方がいらっしゃるのではないでしょうか。

絶対に忘れてはならないことは「最終目標を何に定めるのか」ということです。
本来のデジタル化の目的は、業務改善やDXの推進だったはずです。
せっかく、法令対応で実現したガバナンス強化を業務改善やDXに発展させなければなりません。
ここで、ドキュメントDXを推進するためのキーワードを3つ挙げましょう。

それは「電子契約」「AI」「ノーコード」です。

次回はまず「電子契約」について、お話しいたします。

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